空手の約束組手の効果的な練習方法。3つのステップで受け、捌き、捕りを身につける

組手レベルアップ

空手の約束組手の効果的な練習方法。3つのステップで受け、捌き、捕りを身につける

空手には約束組手という練習方法があります。

二人組になって攻めと受けに分かれます。攻め側は予め決まった技を相手に仕掛け、受け側はその技に対処するという練習方法です。

約束組手の目的は、攻防のパターンを体に身につけさせることです。攻撃の技が決まっているので、受け側は余計なことを考えずに受け技に集中することができます。

約束組手を行う場合のおすすめの練習方法は、単純な技からスタートして、最後には相手の攻撃を捕るところまで行うこと。同じ技でも体捌きや力の入れ具合を変えるだけで、受け技が捌き技、流し技、捕り技にも変化していきます。

下段払い一つとっても、受けるだけでなく、相手を取って投げることにも応用できます。

今回は、僕の道場で行っている約束組手の練習メニューを紹介します。

約束組手の練習方法

ご紹介する約束組手の練習方法は、3つのステップに分けて行います。

はじめは相手の攻撃を受けることが目的です。基本的な約束組手といったところでしょうか。

ステップ2は相手の攻撃を捌くことを目的です。受けと捌きの違いは力の使い方です。受けは相手の攻撃をガシッと受け止めることに対して、捌きは相手の攻撃を受け止めずに無理なく受け流します。

ステップ3は相手の力を利用して相手を捕らえます。力の流れを理解してうまく体捌きを行えば、力は入れずに相手を投げたり抑えたりすることができます。合気道に近いような動きになります。

それでは具体的にご紹介していきます。

ステップ1:受け 右上段突きを左上げ受けで受ける

相手の上段突きに対して上げ受けで受けます。

攻撃側は右足で踏み込んで右手で突いた場合は、受け側は右足を下げて左手で受けてください。右手の突きを左手で受ける形になります。

ポイントは、相手の攻撃をしっかりと受け止めるようにして力強く受けることです。受けのタイミングと力の入れ方を身に着けてください。

ステップ2:捌き 右上段突きを右上げ受けで捌く

ステップ1と同じ技を使いますが今度は右手で上げ受けを使います。

攻撃側が右足で踏み込んで右手の上段突きに対して、受け側は右足を下げて右手で上げ受けを行います。相手の右手を右手で受けます。

やってみるとわかりますがステップ1とステップ2では難易度がグっと上がります。受けたつもりでも相手の攻撃があたってしまうことがあります。原因は上げ受けの際に、腕が体の中心を通っていないからです。右手の突きを右手で受けるので、対角線から攻撃が来ます。受けるときに上げ受けの軌道が体の中心を通らないと受けることができません。

次にうまく捌くコツを伝授します。

相手の突きが伸びきる前に、上げ受けを出してください。ググっと突きの軌道を持ち上げるようにすると、うまくさばくことができます。このときにしっかりと腰を沈み込ませるようにしてください。

腕を上げることと体を沈ませることで上下の動きを作ることがポイント!仮に体の沈み込ませがない場合、腕だけで10の移動距離を持ち上げる必要があります。体の沈んこみを使えば、腕5、体5でよくなるので、半分の時間で受けることができます。

相手の攻撃をうまくさばけない人は、体の沈み込ませが甘いはずです。最低でも顔半分は沈みましょう。

ステップ3:捕り 右上段突きを右上げ受けで捌き、体捌きで相手を捕る

最後は捕りのステップです。実際の組手試合で捕りをするシーンはないと思いますが、空手を追求する場合は捕りという考えは必要不可欠です。方の理解にもつながっていくので、ぜひできるようにしてください。

捌くまでの動作はステップ2と同じ。相手の右上段突きに対して、左足をさげて右手で上げ受けを行います。ステップ2ではここで止まりましたが、ステップ3ではこの次に動作があります。

受けている右手で相手の手首を捕ります。次に後ろ足である左足を相手の右横まで前に出し踏み込みます。足を出しながら、捕った右手をひねりながら下に下げます。同時に左手で相手の右の肩甲骨あたりをズイッと押し出します。最後に残った右足を引けば、簡単に相手が転がっていきます。

ポイントは体捌きです。上段受けの際は相手の正面では受けますが、投げるシーンになると立ち位置は相手の右に移動しています。体捌きが充分でないと、力を使って投げることになります。

もう一つのポイントは、螺旋を意識して相手を誘導することです。武道ではよく円を意識しなさいといいますが、僕は円では相手の力を利用することは難しいと思っています。二次元の円から三次元の螺旋の動きを意識することで、力の流れに沿った動きができます。

約束組手は役に立つ練習方法

約束組手でステップ3まで行えば、力の流れや体捌きといった空手独特の動きを身につけることができます。

ステップ1のように相手の攻撃を、まともに受けるだけでは空手の上達はありません。力vs力になってしまってはだめなんです。空手は技術なので、力という単純な武器を使わずに相手を制すことができなくてはいけません。

実際にステップ3の練習はかなり難しいです。

段位が2段、3段では理解はできてもやってみることは難しいです。けれども何度も何度も練習していれば、力の使い方と力の流れが理解できます。力の流れが理解できれば、その他の技でも受け、捌き、捕りができるようになります。

相手の攻撃が決まっているので、攻防の型を習得するためには約束組手は役に立つ練習方法です。

道場で約束組手をやらない場合は、ぜひ練習に取り入れてくださいね。

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