- 残心って何のために必要?
- 残心を取るとどうなるの?
この記事ではこのようなお悩みを解決します。
本記事の内容
- 空手で残心を取る目的と理由
- 空手の残心のとり方
こんな方におすすめ
- 残心を意味を知りたい人
- 残心を取る方法を知り合い人
残心を取ると空手が上達するし、試合にも勝つことができるようになります。
残心を取ることができれば、突きや蹴りのスピードが早くなり、攻撃の切れや極めが出てきます。
他にも、相手の反撃を受けないという防御面の効果もあります。
実際に、これまで空手の試合で勝てなかった子どもたちに、残心を意識した攻撃を練習することで、ポイントをポンポン取ることができるようになって試合に勝つことができました。
残心は空手上達のためには必要な技術なので、身につける必要があるのです。
この記事では残心の意味や効果、練習方法をご紹介します。
残心とは武道の心だ!
残心とは何なのか?空手を練習していても「残心」という言葉を知らな人が増えてきています。
まずは「残心」について知ってもらいます。
残心は攻撃を終えた後に構えること
残心とは、攻撃した後に相手の反撃に備えて構えることです。
攻撃直後は、実は意識が攻撃に集中しているので、油断しがちです。その油断を狙って相手は反撃してきます。
攻撃をしたあとに、改めて構え直すことで相手の反撃を防ぐことができます。
残心の意味
しかし、残心はすべての攻撃のときに取るわけではありません。
いろんな空手家の動きを見ていると残心を取っているのは、相手から「一本」を取っているタイミングです。つまり、相手を倒したときに残心を取っています。
相手の反撃に備えることを目的にするならば、毎回の攻撃で残心を撮ればいいですよね。
しかし、実際には相手を倒したときのみ残心を取っています。
この動作から、残心の本来の意味が見えてきます。
つまり、残心は相手の攻撃に備えるという「相手」への動作ではないことがわかります。
残心は相手に対してではなく、自分自身に対する動作として捉えられます。
残心の本来の意味は、どんなときでも気を抜かず心を残しておくことです。
空手は格闘技なので、相手への攻撃を目的にしているので、相手を倒した時点で目的は達成されます。
相手を倒した時点で、自分の緊張の糸を解いて空手を離してもいいのではなく、相手を倒しても、緊張感を持って空手から離れてはいけないということを教えているのが残心の本質的な意味なのです。
残心は全ての武道に共通する
「残心」の考え方は、空手に限った話ではなく、全ての武道に言えることです。
残心が重要視されていることは、武道の試合を見ていてもわかります。
剣道の試合で、どんなに素晴らしい面や胴などの攻撃が入ったとしても、残心がなければ一本にはなりません。
空手の試合も同様に、攻撃が入っても、引手や体制など残心がなければ、ポイントになりません
柔道でも、弓道でも試合のポイントに残心の有無は大きく関わってきています。
このように残心は武道に共通した概念なのです。
残心は武道とスポーツを分ける
あなたは試合中にガッツポーズやパフォーマンスをする試合を見て、空手家らしいと思えますか?一方で、サッカーや野球などのスポーツではどうでしょう。
多くの場合は、空手家がするのは違和感だが、サッカー選手はOKみたいな答えではないでしょうか。
このように判断するのは、残心の考え方があるからです。
ガッツポーズやパフォーマンスをすることで心がなくなり、空手の心が離れてしまい、残心がなくなります。それを感じて、あなたは違和感を感じるのです。
一方でスポーツ選手には残心という考えはなく、競技に勝つということを目的にしているからです。
白鵬の相撲が日本人に違和感をもたせるのもこの違いです。
おそらく、日本人には武道という考えがあるので、そういった微妙な武道とスポーツの違いを理解できるのです。
残心の有無が武道とスポーツを決定する重要な要素なのです。
残心とは?
- 残心は、相手の攻撃に備えて、攻撃後に構え直す動作のこと
- いつでも気を抜かずに心を安定させておくことが残心の本質的な意味
- 残心が武道とスポーツの違いを作る
カッコよく残心をとる選手
実際に残心を取る姿はとてもかっこよく、気持ちがいいです。
アンディ・フグやフランシスコ・フィリオなどの極真会館出身の空手家が相手を倒した直後によく残心をとっている姿があります。
なかでもフランシスコ・フィリォは相手をKO直後には必ず、下段払を取ることで残心を取っています。
腕をクロスしてから左手を前に出して、下段払をしているのが動画から見ることができます。
フランシスコ・フィリォは格闘家ではなく、武道家なのだと感じることができ、他の選手とは違っていることがわかります。
フランシスコ・フィリォの残心にあこがれて、オレは空手を始める切っ掛けになったんだ。
空手で残心をとるメリット
空手の残心が必要な理由とその効果についてご説明します。
相手のカウンターに対して備えることができる
空手は一撃必殺が前提です。
空手に連続技が少なかったり、型が単発で終わることからも強い一撃を求めていることがわかります。
しかしながら、相手を一撃で倒すというのは至難の業であることは承知の上。
相手を一撃で倒すことができなかったらどうなるのか?
もちろん相手から反撃があります。
特に攻撃後はスキが大きくなるので、相手からの反撃(カウンター)を受けやすい状態になっています。
そうならないためにも残心を取ることで、攻撃直後のスキをなくし、相手の反撃に備えることができます。
次の攻撃を出しやすくなる
残心を取ると、次の攻撃を出しやすくすることができます。
攻撃直後に気を緩めることなく、構えているので体がニュートラル状態に戻ります。
体はリラックスできているので、次の攻撃や動作にすぐに移ることができるのです。
試合ではポイントが取りやすくなる
残心を取れば、試合でポイントが取りやすくなります。
審判がポイントを取るためには、技の大きさが重要な要素です。
腕をしっかりと伸ばしていること、攻撃後に引き手を取っていることなど多くの要素でポイント基準を満たします。
突きの直後に引き手を引いて残心を取ることで、技が大きくなり、ポイントに繋がります。
組手試合に出場した選手ならわかると思いますが、自分では「入った!」と思った突きがポイントにならないことはたくさんあります。
自分ではポイントになると思っているけど、ポイントにならないのは、攻撃だけで判断して、その後の引手や残心がないためです。
しっかりと引き手をとって残心を残せば、技が大きく見えて審判も技を確認しやすくないり、ポイントになりやすくなるのです。
空手の組手試合の残心のとり方
空手の組手の試合では残心を取るとポイントに繋がりやすくなることがわかったと思います。
初心者でもできる残心のとり方をご紹介します。
練習して身につけると無意識に残心を取ることができるようになるので、しっかりと練習してください。
刻み突きの残心のとり方
刻み突きをついた後、突いた腕は自分の腰までしっかりと引いてください。
つかない方の腕は手刀にしてしっかりと相手を押してください。
踏み込んだ足と後ろ脚をスッと入れ替えて、体を反転すると残心を取ることができます。
荒賀龍太郎選手の刻み突きを見てみましょう。
なんとなく刻み突きを出しているように見えますが、突いた後、右手でしっかりと空いてを教えていることがわかります。
それだけでなく、刻み突き後には体をスッと入れ替えていますね。
このように残心を取ることで、相手はカウンターや反撃をすることが難しくなります。
関連記事:空手の刻み突きでポイントを取るための具体的な突き方と練習方法
逆突きの残心のとり方
永木伸児という空手の選手はご存知ですか?
永木伸児は基本に忠実でとてもきれいな空手をする選手です。
逆突きの残心のとり方がとても美しく参考になります。
まずはこちらの動画を見てください。
逆付きは突いた反動で拳を腰まで一気に引き、それと同時に、前手で相手を押して距離を保ちます。
こちらの動画では永木選手が、逆突き後に前手でしっかりと相手を押して距離をとっていることがわかると思います。
永木伸児選手は、教科書に書いたような理想的な組手を行う選手です。
特に逆突きを得意としているので、参考になる部分もかなりあります。
組手で迷ったら永木選手の組手を参考にするのが良いです。
蹴りの残心のとり方
伝統空手の蹴りは振り切らないことが特徴です。
蹴りは片足で立つことになるので、体が安定せずに不安定になります。
余談ですが、わざわざ戦いの最中に不安定な片足になることは宮本武蔵も否定しています。
蹴り技はバランスを崩しやすいだけでなく、相手に足を取られるリスクがあります。
振り切るような蹴りでは、間合いを切って捌くだけで簡単に相手を転がすことができます。
相手に足を取られないようするためと自分のバランスを保つためにも、引き足が重要です。
こちらの動画を見てください。
蹴った後に、しっかりと引き足をとっていることがわかります。
上げた足をすばやく引くことで、次の動作に移りやすくなります。
まとめ
空手において残心の必要性と具体的なとり方について紹介しました。
まとめると、空手で残心は
- 相手の反撃に備える
- 次の攻撃をしやすくする
- ポイントを取ってもらいやすくなる
という目的で行います。
残心を取る練習という空手の練習ではあまりしません。
それは残心が取ることが当たり前という前提だから。
残心を取る癖を身に付けてしまえば、意識することなく自然にできるようになります。
これを機会に残心をしっかり身につけましょう