よくある空手道場の勧誘にこんな言葉を見たことがありませんか?
「空手を習えば護身術にもなるで安心です!」
空手には相手を倒すというイメージがあるので、空手を習うと強くなって悪い人に襲われそうになったときにも相手をやっつけられるような印象を持つ人もいるでしょう?
でも、本当に空手は護身術に使えるのでしょうか?
空手を習っていれば、もしものときに空手を使えば自分の身を守ることができるのでしょうか?
空手歴20年以上のオレが断言します!
ムリッ!
無理!
絶対無理ぃぃぃぃ!!!!
空手を習っていても変な人に襲われたら絶対に逃げてください。
空手は護身用ではありません。
ということで、詳しく説明していきます。
こんな場面で空手を使うつもりですか?
空手を習い始めだと自分が強くなったような気がします。
これはオレが「空手病」と呼んでいる、空手を習って1年後くらいに発病する特有の勘違い的な病気です。
自分が強くなったような気がしてついつい襲われたときに空手を使えばなんとかなるような気がしてしまいます。
それでは実際に襲われたことをイメージしてみましょう。
想定1:相手の身長が2メートル、体重120キロの外国人
想像しただけで勝てません。
空手をどんなに稽古を重ねても、体重差というのは乗り越えることは難しい。
ボクシングがそうですが、ボクシングは体重による階級が細かく分かれています。
体重が約3キロごとに分けられているので、体重が65キロの選手と70キロの選手が試合をすることはありません。
それほど体重差というのは大きな影響を与えます。
愚地独歩の言うように、空手の技術を身につければ体重差をカバーできますが、限界もあります。
それほど体重差というのは空手に大きな影響を与えます。
想定2:目の焦点があっていない包丁を持った明らかにやばめのロン毛の若者
次は武器を持った相手への対応です。
刃物を持った相手は、刃物からしか攻撃が来ないので逆に安全だ!という人もいますが、この考えもダメ。
刃物からの攻撃はすべて致命的な怪我に繋がります。
包丁の先端が肩に数センチ刺さっただけでも、あなたは動けなくなります。
刃物を持った相手には絶対に対抗してはいけません。
空手を習っても護身術にならない理由
空手の練習は空手の上達のために行っている
空手は格闘技なので、相手を倒すためにやっていると勘違いしている人もいると思いますが違います。
空手の練習は空手がうまくなるためにやっています。相手を倒すことではありません。
空手がうまくなることと、相手を倒すことは全くの別物です。
空手は相手を倒すものではない
空手がうまくなるということは、
- キレとキメのある突き出せるようになること
- 全身の力を拳に乗せることができる
- 無駄のない動きができるようになる
こういうことです。
こういう動きができるようになった結果、組手の実力が上達するので、相手を倒すことを目的にやっているわけではありません。
オレが空手をやっていて気がついたことは、空手をやればやるほど自分のことを理解できるということ。
自分が誰にも負けないような強い力を手に入れたということではありません。
むしろ逆で、空手を習えば自分がどんなに弱い人間なのかわかってきます。
たぶん、視野が広がって周りのことがよく見えるようになったのでしょう。
空手を習うことで得られるのは相手を倒すための力ではなくて、自分を知って相手を理解するためのもっと大きな力だと思います。
護身術は実践で使えない
テレビでもよく女性が手を捕まえられたら、手首をグリっとやってこうすれば相手を制することができます。などと特集されることがあります。
あんなことができる人は100人中に1人くらい。
実際に変な人に襲われた場合、手首をこうやってこうやってこうするなんてことはできません。
恐怖から足がすくんで動くことすらできないはず。
相手がどこの誰かもわからないような人から、背後から急に抱きつかれたら
「え?」という驚きと恐怖で、声すら出ないはず。
混乱と恐怖の中、とっさにテレビや道場で習った護身術は使えるのでしょうか?
いやムリだろう。
護身術が有効か有効ではないかの話の前に使うことすらできません。
変な人への対処方法
空手が護身術に使えない理由がわかったと思います。
次は万が一襲われたときにどうすればいいのか説明します。
「助けて!!!!!!!!」と大きな声を出す
もしものときは、大きな声を出してください。
大きな声を出すことができれば、その声を聴いた誰かがあなたのことを探しに動きます。
犯人もあなたに大きな声を出されたら、その場から逃げるしかありません。
それほど大きな声というのは有効です
走って逃げる
前提として、相手に捕まっていない状態です。
少しでも見の危険を感じたら走って逃げてください。
スタスタスタと速歩きになるのではなく、全速力で走ってください。
全力で走って逃げることで、あなたが犯人のことを認識して警戒しているということを犯人にアピールすることができます。
これから犯行を行おうとする犯人にとっては警戒されている状態の相手にはちょっかいが出しにくくなります。
結局、何が護身術になるのか
これまで説明してきたように、空手は護身術にならないので何が護身術になるのかという疑問が出てきます。
発声練習が護身術に最も効果的
護身術を学びたければ、声を出す練習をしてください。
日頃から大声を出していないと、いざ声を出そうとしても出てきません。
幸い空手の練習では「気合」が必須です。こちらの記事ても書いたように、気合を出すだけで大きな力が出てきます。
子供が空手で気合が出せないのはなぜ?大きな声で気合いを出すための方法は?
空手にはどうして気合いが必要?出すだけで空手が上達する理由とは
空手の稽古で大きな声を日頃から出していればそれだけで、もしものときのスキルになります。
最強の護身の教え「君子危うきに近寄らず」
「君子危うきに近寄らず」という言葉があります。
これは、「立派な人物は危ないところに近づかない」ということを言っています。
広い意味では、教養高い人格者は言動を慎むもので、自ら危ないところに近づいて災いを招くような馬鹿なことはしないということ。
つまり、そもそも危なそうなところ、人気のない時間帯の人気のない通りなどには行かないということ。
渋川剛気の護身完成の瞬間
合気道の達人で生きる伝説こと渋川剛気が護身を極めたときの一幕です。
ジャックハンマーという強大な相手と戦うことになったのですが、護身が完成した状態の渋川剛気はその試合会場にたどりつくことができなくなりました。
護身を極めると体が危険な場所に近づくことができなくなるのです。
結局危ないことが起こりそうという予見を無意識レベルでやっているということです。
空手を習っているからと言って、護身術に使えるので安心だ。
もしものときには相手を懲らしめてやろうなんて馬鹿な考えはやめてくださいね。