上質を知る空手家になるためには型の理解と約束組手が必要不可欠である理由

空手を知る

上質を知る空手家になるためには型の理解と約束組手が必要不可欠である理由

空手を稽古している人は2種類に分かれると思う。

一つは空手に興味をもって格闘技として空手を稽古している人。

もう一つは空手という世界にどっぷりとはまってしまい武道として空手に道を進む人。

みなさんはどちらの空手家でしょうか?

空手を長く続けている人は、後者の武道として空手を追求していると思います。もちろん僕もその一人。

空手を追求していると必ず通る道が、型の理解約束組手

この2つを学び習得するこそが、上質を知る空手家になるための登竜門と考えています。

型を理解する目的は仮想敵の具体化

空手にはたくさんの型があります。

僕の流派である松濤館流で言えば、平安系の型から始まって慈恩、抜塞、観空、そして岩鶴、十手、五十四歩、二十四歩、ソーチン、王冠などなど難しい型に繋がります。

空手を学び始めて5年位はひたすら型を覚えることに専念していました。間違えないように、正確に型をする。それが大切な時期。

でも、あるときから型の意味を考え始めます。

型のこの技はなんの意味があるのだろう?

相手の中段突きを受けて突くとすぐに分かるものもあれば、わかったようでわからない技もある。

何をしているのかわからない状態では型の上達もありませんよね。

そこで必要になるのが、型を理解するということ。

型を理解するって何?

型を理解するというのは、型を一つ一つの技に分解してどういった攻撃に対しての技なのか知るということ。

シンプルなのは平安系の型。大部分が下段払い追い突きで構成されていますよね。
こういった場合は、相手の中段突きを受けて返すという理解でも問題ないでしょう。

上級の型になっていくと理解が難しい場合もあります。

例えば抜塞系の型で出てくる山突きという技。
右手で上段に鈎突き、左手は拳を上に向けて下段に突く。立ち方は不動立ち。
一見するとこの技は相手の上段と下段を同時についているという理解ができます。

しかし、ここで一つ疑問が出てきます。

相手に突くのに、なぜ前屈立ちではなく不動立ちなのでしょうか?

もしかしてこれは突きと同時に受けなのでは?

上段は受けで、下段は突き。
もしくは、上段も下段も受け。

そうやって型の技を分解して、どんな攻撃に対して行っているのか知ることが型の理解と言えます。

型を理解すれば、型の動きが変わる

型の技を分解し型を理解できれば、方の動きが変わってきます。

今までは何を想定している技なのか腹落ちしていないかった技の目的がわかれば、力を入れるタイミングや腕の位置や腰の高さも変わってくるはず。

なれないうちは「あれ?なんの攻撃だっけ?」と型の途中で考えてしまって止まることもあるかもしれませんが、それでOKです。

慣れてくると当たり前のように相手を想像してスムーズに型ができるようになります。

約束組手では型の動きを試す

空手を武道として追求して、上質を知る空手家になるためのもう一つの手段が「約束組手に取り組むこと」です。

約束組手とは、二人一組になり受けと攻めに分かれて行う練習です。
攻める側は攻撃技が決まっています。それに対して、受け側が対応するという内容。
攻撃が約束で決まっているから約束組手です。

空手歴が浅いと、この約束組手は果てしなくつまらない練習方法と感じます。

僕も練習生として空手をしていた頃は約束組手の練習になるとマジ最悪と思っていました。
ミットや打ち込み練習など他の練習をしたいと感じていました。

面白くないので練習も適当にやっていた感はありますね(笑)

しかし、空手歴が長くなってくると約束組手への向き合い方が変わってきました。

約束組手こそ空手の道を追求するために欠かせない練習方法だと気が付きました。

約束組手は型の仮想敵を実現させる唯一無二の練習方法

突然ですがあなたがかめはめ波を出せるって知ったらどうしますか?
きっと安全な場所でこっそりと試してみますよね?

約束組手への考え方も実はこれと一緒。

型を練習して一つ一つの技がなんのための動きなのか理解できたら、次は実際にその技を試してみましょう!

型でイメージした技を相手に向かって行う練習方法が約束組手であると理解してください。

型で学んで身につけた動きを実際に相手に向かってやってみると気がつくことがたくさん出てくるはず。

腕の位置、腰の位置、重心の場所、力を入れるタイミングや力を抜くタイミングなどいろんな事に気が付きます。

そうやって気がついた部分を知ってから、型を練習をするとレベルアップすることができます。

型も約束組手も最終目的は実践で動けるようになること

型を理解して、つぎに約束組手で相手に向かって試してみる。
修正点を知って、もう一度型に戻る。

なんだかビジネスの世界で使われるPDCAサイクルのような感じですね。

  • PとはPlanのプランのことで、計画すること。
  • DとはDoの実行のことで、実際に試してみること。
  • CとはCheckのチェックのことで、気がつくこと。
  • AとはActionの改善のことで、修正すること。

型の意味を理解して、約束組手で試して、修正点に気がついて、型に戻る。

とうとう空手の世界にもPDCAが入ってきたか!と感じますね。
これは僕が常日頃から仕事に前向きに取り組みPDCAを意識している証拠でしょうか(笑)。

それではなぜこのようなサイクルで型と約束組手を練習するのでしょうか?グルグルと回っていれば何が起こるのか?

目的は実践です。

相手がとっさに攻撃してきたときに、無意識に体が反応できるようにするために練習します。

僕はあくまでも空手の目的は対人護身術と考えています。

中には空手の目的は人格形成であり精神修行だと思う人もいます。
しかしそれはあくまでも空手の副産物で、お土産のようなもの。

このあたりはまたの機会に意見を考えをまとめますね。

型を理解して約束組手で試すことで、体がその動きを覚えて実践でも使えるようになります。

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