空手の組手ルールがわからないので教えてほしい
この記事ではこのようなお悩みを解決します。
本記事の内容
- オリンピック競技になった空手のルールを解説
こんな方におすすめ
- 空手のルールを知りたい人
- これから空手を始めてみたい人
- 寸止め空手とフルコンタクト空手の違いを知りたい人
2021年には東京でオリンピックが開催されました。型競技では喜友名諒選手が見事金メダルを取って盛り上がりました。
その効果もあって、空手をテレビで見る機会が増えてきました。
がしかし、空手の試合の様子を見ても、何が何だか分からない。
空手のルールが全くわからない!なんてことは無いでしょうか?
試合を見ていてもなぜ今のがポイントなのか?
なぜ負けたのか?そもそも、今は何をしているのか?など疑問に思うことも多かったはず。
空手を習ったことがある人を除いて、空手のルールを知っているという人はいないと思っています。
せっかく空手を見るのにルールがわからなかったら、もったいない!空手のルールを知れば、空手をいっそう楽しく見ることができるようになります。そこで、今回は空手のルールを説明していきます。
組手のルールを知れば、組手に勝つこともできるようになるぞ。
この記事で解説する空手は伝統空手
空手には大きく分けると攻撃を当てない寸止め空手と攻撃を当てるフルコンタクト空手の2種類があります。
寸止め空手は伝統空手と呼ばれていて、日本には四大流派と呼ばれる空手の流派があります。
極真会館や正道会館はフルコンタクト空手です。この記事では寸止め空手の組手のルールについて解説します。寸止め空手は伝統派空手とも言います。
伝統空手の組手ルールは会派や団体によって微妙に違ってきます。現在、日本には大きく分けて全日本空手道連盟と日本空手協会の2つがあって、全日本空手道連盟は、オリンピックに採用されて競技空手です。日本空手協会は、歴史と伝統を守る武道空手です。
ここでは、オリンピックの対象となっている全日本空手道連盟のルールを解説します。
関連記事:日本空手協会と全日本空手道連盟の組手の微妙なルールの違いを解説
組手の試合について
伝統空手(寸止め空手)の組手はポイントで競います。
K-1やボクシングのように相手をノックアウトさせることを目的にはしていません。テレビで格闘技に見慣れている人は空手に対して違和感を持つかもしれませんね。
試合は相手への有効打に応じて一本、技あり、有効があって、判定によってポイントが加算していきます。
ポイントの配点
- 一本:3ポイント
- 技あり:2ポイント
- 有効:1ポイント
一本、技あり、有効は姿勢・態度・気力・残心・タイミング・距離などを総合的に判断し得点します。
審判チェックポイント
- 姿勢:相手に対してまっすぐ体を向けていること
- 態度:悪意のない態度でスキがなく集中していること
- 気力:技の力とスピードが一定水準以上あること
- 残心:技の後、引手を十分とって、相手の反撃に備えていること
- タイミング:最も有効的な瞬間で技をかけていること
- 距離:有効な距離で技をかけていること。肌に触れるか断面から2〜5cmのところへの突き・蹴りがなされていること
「あれ?今、攻撃が決まったと思ったのにポイントになっていない?なんで?」
試合を見ているとこのように不思議に思うことが出てきます。
相手に攻撃をしてもポイントにならなかったのは、姿勢が悪かったり、残心がなかったり、距離があっていなかったりなどが理由として考えられます。
どんな攻撃がポイントになるかは初心者のうちはなかなか見分けにくいです。
どのような技がポイントになるかはこちらの動画を見てください。
勝敗の決め方
試合は次の条件のときに終了し、勝敗が決まります。
勝敗の決め方
- 8ポイント差が発生した場合
- 時間終了
- 相手が失格・棄権した場合
空手の試合のほとんどが時間制限で終わります。
よほどの実力差があれば8ポイント差がついて終了しますが、オリンピックレベルの試合は選手のレベルが拮抗しているので、8ポイント差がつくことはないはずです。
相手が反則を繰り返すと失格になり、試合が終わります。
反則で試合が終わることはハイレベルの試合ではありません。
上級者は技をコントロールすることができるので、相手に当たる寸前で止めることができるから反則にはなりにくいです。
逆に空手に慣れていない小学生や中学生などの試合では稀に反則で試合が終わることもあります。
ポイント
ポイントには技に応じて一本、技あり、有効の三段階があります。
- 一本:3ポイント
- 上段蹴り
- 投げた相手、倒れた相手に対する有効打
- 技あり:2ポイント
- 中段蹴り
- 背部への突き
- それぞれの技が特典可能である手技の組み合わせ
- 相手を崩し得点した場合
- 有効:1ポイント
- 上段突き
- 中段突き
- 上段打ち
- 中段打ち
突きは1ポイント、蹴りは2ポイント以上と覚えると簡単です。
実際の試合は、上段蹴り、中段蹴り、上段突き、中段突き、倒した相手への攻撃のいずれかです。10年以上前は打ち技を使う選手もいましたが、打ち技は相手に攻撃を読まれやすい、攻撃範囲が狭いなどの理由で最近では使う選手がほとんどいません。
実際の試合では一本は上段蹴りか倒してからの攻撃、技ありは中段蹴り、有効は突きが大半です。
外国人選手は大技を好む傾向があるので、上段蹴りと足払いをよく使用してきます。技が決まると3ポイントになるので、大量得点を狙ってくる傾向があります。
先取について
先取(センシュ)とは試合終了時スコアが同じだった場合、最初のポイントを獲得したほうが勝者となるルールです。
例えば、試合終了の時点で3−3で同点だとすると、一番最初にポイントを獲得した選手が先取となり勝者になります。つまり試合が始まって最初にポイントを取ることが、試合後半で有利に効いてきます。
先取のルールの登場によって、選手たちは積極的な試合運びをする必要が出てきました。
投げ技について
空手には突きや蹴りの攻撃だけでなく投げ技も存在します。空手の組手で認められる投げ技は限定されています。
- 相手を掴まないで行う足払い
- 相手を掴んで(支えて)行う投げ技
柔道や相撲のように相手を掴んで投げるという技はできません。相手が攻めるために踏み込んだ瞬間に、足を刈る小内刈りは認められますが、相手を掴むと認められません。
背負投げなど肩の上から投げる技、巴投げ、捨て身投げ、回転軸が腰より上にある投げ技は全て反則です。相手を掴んで投げる場合は、相手が安全に着地できるように相手を支えている必要があります。
次の投げ技はカテゴリ1の反則です。
- 相手を離してしまう投げ技
- 危険な投げ
- 回転軸が腰よりも上の投げ技
投げ技の動画を紹介します。
相手の力や重心を利用して投げるので、全く力を使わずに投げることができます。
投げ技や足払いは日本人選手よりも外国人選手が得意としています。オリンピックで日本人選手が金メダルを取るためには投げ技への対応が必要になってきます。
反則
空手の組手の反則は「カテゴリ1」と「カテゴリ2」の2つに分類されています。
カテゴリ1は一般的に負傷につながる反則行為です。カテゴリ2はそれ以外の反則行為です。
カテゴリ1
- 攻撃部位への過度の接触
- 有効部位以外への攻撃
- 平手、貫手の攻撃
- 危険な投げ(回転軸が腰よりも上)
カテゴリ2
- 負傷の誇張
- 場外
- 無防備(自ら負傷を受けやすい行動)
- 不活動(30秒間双方が何もしない)
- つかみ
- コントロールされていない技
- 相手選手に話しかける
- 審判へ命令に従わない
- 道徳に反する行為
試合中の大半の反則はカテゴリ1の過度な接触です。技を相手に当てすぎるということ。
「過度な」とあるので、軽微な接触については反則にはなりません。寸止め空手といえども、攻撃があたるというのはこのためです。攻撃を仕掛けた瞬間に相手が前に出てきたときに攻撃があたってしまいます。
反則の段階について
反則は忠告→警告→反則注意→反則→失格の5段階にわかれています。
サッカーで言うところのイエローカードとレッドカードの関係です。空手も同じで、反則は繰り返す回数に応じてペナルティが課せられます。
一回目の忠告は何もありませんが、2回目の警告になると相手に1ポイント、3回目の反則注意になると相手に2ポイント与えられます。
大抵の場合は1回目の反則は忠告を宣告されますが、極めて悪質で重大な違反に対しては、いきなり反則が宣言されることもあります。
10セカンドルールについて
10セカンドルールとは、相手選手がノックダウンや投げられて自分で10秒以内に立ち上がれなかった場合、競技続行が不可能とみなされ、当該大会の全ての組手競技に出場できなくなるルールのことです。
試合コート
空手の組手は専用のマットの上で行われます。競技エリアは8m×8mの正方形の中で行います。
審判
審判は主審1人と副審4人の5人で行われます。
試合は主審の主導のもと行われます。主審は試合の合図や中断などを行います。
副審はコートの四隅に配置されポイントの判定を行っています。空手の突きや蹴りは圧倒的なスピードなので、主審一人では見逃したり見えなかったりします。それを回避し公正なジャッジをするために副審4人で技を判定する事になっています。
空手の階級について
空手は体重別に階級が分かれています。東京オリンピックと世界大会では階級が違っているので注意してください。
東京オリンピックの組手の階級
- 男子
- 75キロ超級(重量級)
- 75キロ級(中量級)
- 67キロ級(軽量級)
- 女子
- 61キロ超級(重量級)
- 61キロ級(中量級)
- 55キロ級(軽量級)
東京オリンピックでは男女それぞれで3階級があります。
世界大会の空手の階級
- 男子
- +84kg
- -84kg
- -75kg
- -67kg
- -60kg
- 女子
- +68kg
- -68kg
- -61kg
- -55kg
- -50kg
世界大会では男女それぞれで5階級があります。
空手はポイント制で勝敗を決めるので、体重による試合への影響はほとんどありません。ボクシングは体重数キロの差がパンチ力に影響しますが、空手は関係ないと言えます。
試合道具
空手の組手試合に必要な道具をご紹介します。
空手に必要な道具はこちらの「【保存版】空手の練習や試合で必要な道具まとめ」でまとめているのでぜひ読んでみてください。
関連記事:空手道着の選び方と買い方
参考動画
こちらの動画には空手のルールについてわかりやすく紹介しています。
こちらの動画は西村拳選手の得点シーンをまとめています。どのような技がポイントになるか知りたい人は参考にしてください。
まとめ
いかがだったでしょうか?
伝統空手は寸止めルールを採用しています。空手といえばK-1のように相手をノックアウトさせれば勝ちと思っている方も多いですよね。しかし、オリンピックの空手もポイント制なので空手をやったことがない人にとっては、ルールを知ることは難しいと思います。
試合を見ていても、どっちがポイントを取ったのかわかりません。スピードが早すぎて、技すら見えないこともあります。空手のルールに慣れていないと、今の技がポイントになって、さっきの技がポイントにならないか疑問に思う場合もあります。
けれども、たくさんの試合を見ているとちょっとづつポイントになる技が分かってきます。有効打と反則の違いがはっきりと分かるようになるので安心してください。
オリンピックまで時間があるので、空手のルールを覚えて空手を楽しみましょう!
さて次は、空手に必要な道具について知りましょう!空手は空手道着の他にもたくさんの防具を使います。空手に使う道具を知っていると、楽しみ方も増えてきます。
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