空手の技術

空手の揚げ受けは上段突きを防げない。何の攻撃を受ける技なのか?

2017年11月10日

空手の基本の受け技である「上段揚げ受け」があります。

体の正面で交差した腕を額の上に上げて、上段に向かってくる攻撃を受ける技です。

約束組手をしている時に、こんなことを思ってことありませんか?

「揚げ受けって上段突きを受けにくい・・・。」

上段への攻撃は揚げ受けと教えられたのに、なぜでしょうか。

揚げ受けは上段突きを受ける技ではない

揚げ受けの基本はこの動画のように、腕の前で交差した状態で上に向かって素早く上げる受け技です。

一見すると上段への突きを受ける技と思われていますが、実は違っているという考えです。

それは一体どういう意味でしょうか?

上段突きは下からやってくる

上段突きは顔面への攻撃ですが、上段突きの出始めは相手の帯の位置からです。帯のあたりに据えた拳が、上に向かって自分の顔面に真っ直ぐに伸びてきます。

つまり上段突きは下から上に向かってくる突きです。

 

この下から上に向かってくる上段突きを、揚げ受けでさらに上に上げて受けようとしています。

その結果、上段突きを揚げ受けで受けようとするとやりにくかったり違和感を感じることになります。

上段突きは外受けか内受けで受ける

上段突きはどうやって受ければいいのでしょうか。

それは外受けか内受けで受けます。外受けも内受けも相手の攻撃を横に流す受け技です。

空手の受けのタイミングは攻撃が極まる前の脱力した瞬間
相手の腕に力が入っているいわゆる極まった状態を受けることは間違いです。

そのため受けは自分の体の正面で受けることになります。

自分に向かってきた上段突きが体の正面にあるときの高さは肩よりも低いです。
この高さの突きを上に上げるということは、頭一つ分動かす必要があるので受けた腕の移動距離が大きいです。

この高さの突きは揚げ受けよりも外受けや内受けのほうが受けやすいです。

組手は使われない揚げ受け

まずはこちらの動画を見てください。

相手の上段追い突きを捌いて、カウンターを出しています。

基本であれば上段突きへの攻撃は下から上に上げる揚げ受けですが、動画では横からと言うよりも上から下に向けて受けています。

その他の動画を見ても、組手で揚げ受けを使っている瞬間は見たことがありません。

実は揚げ受けは組手ではまったく使われない技だったのです。

揚げ受けは上からの攻撃を受ける

それでは揚げ受けは何に対する受け技なのでしょうか?

それは、上から下に向かってくる攻撃を受ける技です。

上から下に向かってくる攻撃とは上から振り下ろされた棒やカカト落とし(伝統空手にはない)です。

空手は対徒手だけでなく、対棒も想定しています。

棒術は突く、叩く、払うなどがあります。この叩くという攻撃に対して上段揚げ受けは大きな威力を発揮します。

組手では上からの攻撃がない

伝統空手の組手では上から下に向けての技はありません。

そのため、揚げ受けが上からの攻撃を受けるための揚げ受けは組手では使われなくなりました。

これから空手が進化して、上からの攻撃がメジャーになった場合揚げ受けが組手で出てくるはずです。

揚げ受けを応用すれば上段突きを受けることが出来る

それでも約束組手では上段突きを揚げ受けで受ける項目があります。

これは揚げ受けを応用すると簡単に受けることができます。

腰を落として揚げ受けをする

体の正面にある上段突きの高さは肩の位置です。

この高さから頭の上まで受ける場合は、腕をたくさん動かす必要があるのでかなり難しいです。

上段突きを揚げ受けで受ける場合は、腕を上げるのではなく腰を落とせばいいのです。

腕だけで受ける場合の移動距離を10とすれば、
腰を使えば腕で5上げて腰で5下ろせばいいことになります。

熟練者になれば、腰が8くらい下げられます。
そうなれば、腕は2しか動かせばいい。

腕だけで受ける動作の20%の小さな動きで受けることができます。

やってみるとわかると思うのですが、腕を上げるよりも腰を落とすほうが簡単なのです。

上段突きを上げ受けで受ける場合は、瞬間的に腰を落とすようにしてください。

まとめ

いかがだったでしょうか。

約束組手で思っていた疑問

「上段揚げ受けって使いにくい」

この違和感に原因について解説しました。

揚げ受けは上段突きを受けるのではなく、上からの攻撃を受ける技です。

どうしても上段突きを受ける時は腰を瞬間的に下げて受けてください。

 

空手を長い間やっているといろんな疑問が出てきます。

本当にこれでいいのか?違うんじゃないか?と考えながら技を練習すると、力の入れ方や体の使い方も工夫できます。

空手がレベルアップしないと停滞している肩は参考にしてくださいね。

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