まずはこちらの動画を見てください。
中達也の「ワープする追い突き」を実際に体験してみた!という動画です。
空手家の中達也先生が2種類の追い突きをしています。
一見すると同じような動きに見えますが、体験者の反応がまるで違う。
一方は余裕そうな顔をしていますが、もう一方は「おおおおおぉぉぉぉ」と言いながら反応できていません。
一体この「ワープする追い突き」にはどんな秘密があるのか解説します。
僕は空手を20年以上稽古しています。
今では空手道場でたくさんの大人や子どもたちに空手を教えています。
ちなみに僕はこの「ワープする追い突き」ができます。
できるようになったのは空手歴が15年目くらいから。
ある日突然できるようになったわけではなく、体の使い方を意識的に変えたことで中達也先生のような「ワープする追い突き」を身につけました。
なので、「ワープする追い突き」の練習方法もご紹介します。
まずは、「ワープする追い突き」を受けてみるとどんな感じなのか解説します。
ワープする追い突きを体験してみるとこんな感じ
まずは最初にあなたが興味があるのは、実際に「ワープする追い突き」ってどんな感じ?ってことですよね。
ワープする追い突きがどんな感じなのか紹介します。
気がついたときには相手が目の前にいる
気がつくと間合いの外にいた相手が、自分の目の前にいる状態。
何の前触れもなく相手が間合いに入っています。
相手の攻撃を避けられない
相手の攻撃がきたと思っているのに、攻撃を受けることも避けることもできません。
なので、体をのけぞらして完全に体が芯が状態になってしまいます。
ワープする追い突きの秘密
見た目では違いがわからないワープする追い突きですが、普通の追い突きとは何が違うのか?
ワープする追い突きの秘密を解説します。
なお、解説は動画と同じで左半身で構えた状態から右手で突く場合を想定します。
左半身が止まって、右足の後ろ足で送っている
中達也選先生が動画中に何度も説明しているように、左半身と右半身をスライドさせるとはこのことです。
移動の際に左半身を止めた状態で、右半身を動かします。
動かしている右半身は見えにくい後ろ足。
これによって、移動時の動きが最小限になるので、あなたからは左半身も右半身も動いていないように見えるのです。
自分の正中線を取られている
正中線とは体のど真ん中の縦のライン。
右半身と左半身の中心です。
自分の正中線を取られると、右にも左にも動くことができません。
あなたはこんな経験はありませんか?
道を歩いていたら前から人がやってきた。
避けるために相手も同じ方向に避けてきた。
ならばと次は反対に避けると相手も同じ方向に。
結果、お互い立ち止まる(笑)
これは相手が進行方向にいるから止まっているわけではなく、正中線を取られているからです。
このように正中線を取られてしまうと、右にも左にも動くことができずに立ち止まってしまいます。
ちなみに刃牙で有名な範馬勇次郎のつかった御殿手(うどぅんでい)もこの正中線を応用した歩法です。
相手の重心が近づいている
重心とは、体の重さの中心のこと。一般的にはヘソの下辺りの丹田部分が重心になります。
中達也先生のワープする追い突きの場合、上半身と下半身が動いているので重心がしっかりと移動します。
空手初心者の場合だと、上半身が動いてから下半身が動きます。
これだと上半身が10動いているのに、下半身が止まっているので、重心は5しか動きません。
上半身と重心の移動の差で反応することができます。
しかし中達也先生の動きは、上半身が5動いて、下半身も5動きます。その結果、重心は5動きます。
重心が同じ5の動きでも、上半身も下半身の動きは小さくなります。
[box class="green_box" title="ワープする追い突きの秘密"]
- 素人の追い突き
- 上半身の動き;10
- 下半身の動き:0
- 重心の動き:5((10+0)÷2)
- 重心と上半身の動きの差:5
- 重心と下半身の動きの差:5
- ワープする追い突き
- 上半身の動き;5
- 下半身の動き:5
- 重心の動き:5((5+5)÷2)
- 重心と上半身の動きの差:0
- 重心と下半身の動きの差:0
[/box]
中達也先生のワープする追い突きの場合は、重心と上半身、重心と下半身の動きの差がないので、体全体が動いているように見えるのです。
まとめ
中達也先生が動画で見せた「ワープする追い突き」について解説しました。
武道というのは不思議なもので、見た目は同じような技でも受けてみると全く違った印象になることがよくあります。
この「ワープする追い突き」もその一つです。
ワープする追い突きがワープするのは重心の移動速度と上半身、下半身の移動速度に差がないからです。
これによって、中達也先生の突きの出どころが見えなくなって突きがワープしているように錯覚します。
[box class="green_box" title="ワープする追い突きの秘密"]
- 素人の追い突き
- 上半身の動き;10
- 下半身の動き:0
- 重心の動き:5((10+0)÷2)
- 重心と上半身の動きの差:5
- 重心と下半身の動きの差:5
- ワープする追い突き
- 上半身の動き;5
- 下半身の動き:5
- 重心の動き:5((5+5)÷2)
- 重心と上半身の動きの差:0
- 重心と下半身の動きの差:0
[/box]
この考え方は僕の表現したいことがギュッと詰まっているので、次回詳しく解説します。
つまり、早く動くよりも動いているように見せないことが大切なのです。