「初心者が強くなるための練習方法を教えてください。」
最近、こんな質問をたくさん頂くようになりました。
みなさま、本当にありがとうございます。
このサイトも少しづつ空手家の皆様に認知されてきたのだと思います。
空手を強くなりたいと思うのは、空手を練習している人は当たり前に思います。
僕も空手を習い始めた頃は、近くの本屋に行って「格闘技コーナー」によく通っていました。
周りの人に見つからないように本を見ながらコソコソと前屈立ちをしたり、
突きを出したりしていました。
完全に怪しい人ですよね。
でも、本に書いてあることって初歩の初歩のファーストステップです。
空手を茶帯クラスの人にとっては役立つ情報はあまりないと思います。
そこで、空手中級者のために強くなるための空手の基礎練習方法をご紹介します。
空手中級者とは、空手歴が1年以上や色帯くらいのレベルです。
それでは早速解説します。
突きの基本練習方法
空手の練習では突きは必ず行います。
その場立ちの状態から中段突き、上段突き、連突きなどたくさんの突きをしますよね。
突きの基本練習は次の三段階で行います。
- 力を抜いてゆっくりと正確に行う
- 全身に力を目一杯入れてゆっくり行う
- スピードをつけて行う
このステップで突きを練習すれば、驚くほど突きが強くなります。
力を抜いてゆっくりと正確に行う
まずは、その場立ちの状態から左手を前に出して、中段突きの構えを取ります。
体の中心を通るように、正確にコースを意識してゆっくりと動かして下さい。
拳を意識するのではなく、肘を真っ直ぐ出すことを意識すること。
肘を体の中心の正中線から外さないことを意識すれば、
突きがまっすぐに伸びていきます。
突き手と引き手を同時に動かしながら、体の正面で入れ替わるようにして下さい。
手が入れ替わる時には、両腕の内側が上を向いている状態。
初心者によくある間違いは、片方の腕が下を向いて、もう一方が上を向いている状態。
これは、間違った突きです。
拳は常にひねり続けるようにして下さい。
突き初めから少しづつ腕をひねり出し、
腕が伸び切った瞬間にひねりが終わるようにしましょう。
突きが伸び切る瞬間に一気に腕をひねることは間違いです。
拳をクルッと回すといかにも力が入りそうですが、
これは腕の筋肉に頼った体の使い方です。
一部の筋肉を使うのではなく、全身を連動させる必要があります。
全身に力を目一杯入れてゆっくり行う
ゆっくりと正確に突きの動きを覚えたら、次は全身に目一杯力を入れながらゆっくり突きます。
大切なことは、体中に力を入れてゆっくりと行うこと。
そうすると、背中の広背筋に強く力が入っているとがわかるはず。
空手の突きは、腕の筋肉ではなく背中の筋肉を使うことがポイント
→空手の突きは背中の筋肉を使うこと。肩の力を抜くとまっすぐ突けます
ゆっくりと力を入れることで、どこに力が入っているか知ることができます。
実際にやってみるとわかるのですが、
全身に力を思いっきり入れてゆっくり動くと体への負担はかなり大きいです。
体への負担が大きいので、体は自動的に負荷が少しでもかからないように
一部の筋肉ではなく全身をまんべんなく使うように変わってきます。
この練習を行うことで、全身の筋肉を意識して突きが出来るようになります。
脱力と極めを意識してスピードをつけて行う
最後はスピードをつけて突きを出します。
力は入れません。
しかし、極めは必要です。
- 拳ではなく肘を真っ直ぐ出す事を意識して、体の中心を通る
- 腕ではなく、背中を使って突く
- 腕が伸び切る瞬間に、握り込む
この3つを意識すること
全身を使ったきれいな突きになります。
初心者の突きは強く突くことを意識して、
全身に力を入れっぱなしの状態で突いてしまう。
これでは、極めもスピードも生まれません。
突きが当たる瞬間は一瞬です。
それ以外は、突きは動いています。
当たる瞬間以外は、脱力していないとスピードが出ません。
力を入れるのはほんの一瞬で良いことがわかるはずです。
蹴りの基本練習方法
中足をしっかりと作る
空手の蹴りは親指の付け根で蹴ります。
空手では「中足(ちゅうそく)」と呼ばれます。
空手初心者はこの中足を作ることができず、
足の指先で蹴ってしまっています。
これでは、対象物を蹴ることができないし、ケガをする可能性があります。
中足を作ることが出来ることは、空手中級者としては必須です。
つま先立ちを行うと、しっかりと中足を作ることができます。
前蹴りを極めること
空手の蹴りは前蹴り、回し蹴り、横蹴り、後ろ蹴りなど多種多様です。
この全てを練習するためには、たくさんの努力と時間が必要です。
練習した結果、どれも中途半端な技になってしまう可能性があるので、
まずは「前蹴り」をしっかりと身につけましょう。
前蹴りでしっかりと動きを身につけることができれば、
その他の蹴り技も簡単にマスターすることができます。
前蹴りも回し蹴りも横蹴りもと言うように、
全ての蹴りをまんべんなく練習するのは初心者や中級者にはオススメしません。
「え?それだったら組手で蹴りは使えないじゃん!」
そう思いますよね。わかります。
組手で蹴りを相手に当てることは、とても難易度が高いです。
中途半端に蹴りを出せば相手に蹴り足を取られてしまって、
体勢を崩される可能性があって危険です。
中途半端に蹴りを出すくらいなら、出さないほうが良いです。
それでは、前蹴りの練習方法を紹介します。
前蹴りの蹴り方は次のように教えられますよね?
- 膝を高く抱えるように上げる
- 膝の高さをキープしたまま足を伸ばす
- 膝の高さをキープして、伸ばした足を戻す
この3ステップは空手を知らない人には有効ですが、
中級者以上にとっては間違いです。
この動きは、「足を弾く」という動きになってしまいます。
正しくは、
- 膝を上げつつ、足を伸ばす
- 伸ばした足と挙げた膝を同時に動かして着地する
です。
空手の蹴りで大切なことは、膝と足先を連動させること。
膝と足を連動させて蹴ることで、1つの動作で蹴りを出すことができます。
足が股関節ではなく、胸の下から生えているようなイメージを持って、
お腹と腰も動かして蹴って下さい。
このとき上半身はフラフラしたり、
腕でバランスをとったりしないようにしましょう。
どうしてもフラフラしてしまうという人は、
軸足が伸び切っているはずです。
バランスを取るためには、軸足を自然に曲げて腰を落とすようにして下さい。
前蹴りで意識する筋肉は、腹筋とおしりです。
太ももは使いません。
足を動かすためにおしりの大殿筋を使います。
上半身を支えるために、腹直筋を使います。
何度も言いますが、蹴りは3つの動作ではなく、
1つの動作で蹴ること。
これを意識するだけで、蹴りの動きは変わります。
前蹴りをひたすら練習することで、回し蹴りや他の蹴りのレベルアップにもつながります。
例えば、蹴るために足を地面から話した瞬間に、
腰を切れば回し蹴りになりますよね。
前蹴りは、空手の蹴りの基本です。
前蹴りができないとその他の蹴りもできないので、空手中級者は前蹴りをしっかりを練習して下さい。
体が固くて足が上がらないというあなたは、柔軟体操やストレッチの方法が間違っています。
コチラの記事を参考にして下さい。
→上段回し蹴りが出来る空手の開脚ストレッチ方法
移動基本の練習方法
その場基本の練習のあとは、移動基本を行います。
移動基本の練習メニューには追い突きや逆突き、受け技などがあります。
→空手の一撃必殺の究極の奥義技が【追い突き】である理由?
移動基本の本質はスムーズにすり足で移動できることです。
頭を上下させずにまっすぐ動くことができなければ、
どんなにたくさん追い突きの練習をやってもレベルアップはできません。
中級者からレベルアップを目指すのであれば、まずは移動基本でスムーズに動くことを目指しましょう。
まず、初心者にありがちな移動基本の間違いを紹介します。
前屈立ちの状態から、後ろ足を半円を描くように足を前に出して移動する。
よく言われませんか?
これは、空手を始めたばかりの人向けであって、
あなたのような空手を1年以上続けている人には会っていません。
前に出るために、足を半円に動かせば移動距離が長くなりますよね?
スピードが求められる空手にとってはナンセンス。
移動する時は、最短距離で動かしましょう。
移動基本のスムーズな動き方
それでは移動基本での移動する具体的な移動方法をご紹介します。
まずは、前屈立ちを行います。
体重は7:3で前足に体重の乗せます。
動く時は、後ろ足を前に引きつけるように意識します。
後ろ足の動かす軌道はまっすぐ前に出します。
半円で動かしません。
ただし、人間の骨格上、前屈状態で体真っ直ぐにしたまま足を前に出すことは不可能です。
スムーズに動かすために、腰を切る必要があります。
股関節のロックを外して、体の左右を別々に動かすようなイメージ。
コチラの動画を見て下さい。
中達也が追い突きの秘密を解説しています。
体を左右に切ってそれぞれをスライドさせるイメージです。
詳しくはこちらの記事を読んで下さい。
→空手で受けられない突きはどうするの?突きのタイミングは?練習方法は?
どうしてもスムーズに動くことができないという場合は、
前足をよく見て下さい。
前進する時に前足が一瞬外に向かって動いてはいないでしょうか?
前足を外に動かすと、体が動かしやすくなります。
しかし、動きが二挙動になってしまうし、
移動スピードも遅くなります。
移動基本ではつま先を固定して動くと、スムーズに早く動くことができます。
呼吸の練習方法
中級者から上級者を目指すのであれば、呼吸も変える必要があります。
空手では腹式呼吸を行います。
空手で行う腹式呼吸は、
鼻から息を吸ってお腹を膨らませて、
口から息を吐いてお腹を凹ませます。
呼吸法ってあまり意識しませんよね?
しかし、空手は呼吸が大切。
初心者は一生懸命に練習するあまり、呼吸をとめて練習してしまっていることがあります。
呼吸をとめてしまうと、体に無駄な力が入ります。
空手は自然体で脱力が必要です。
常に呼吸を続けることが必要。
正しい呼吸方法を身につけるためには、
柔軟体操の時に意識するとよいでしょう。
柔軟体操やストレッチの時は、気がつくと息が止まっていたりします。
その時に呼吸を忘れずに行うことで、自然と空手で必要な腹式呼吸を身につけることができます。
まとめ
いかがだったでしょうか?
空手を一年以上練習している空手中級者の為に、
空手のレベルアップのための基本練習の方法をご紹介しました。
本や動画を見ても、空手の練習方法を説明しているのは全て初心者向け。
一方で、空手の世界レベルの動画を見てもレベルが違いすぎてよくわからない。
そんなあなたのためにこの記事が役に立てば嬉しいです。
空手は自分ひとりで練習することができますが、
効率的にレベルアップするためには、やっぱりアドバイザーが必要です。
もっと上級の練習方法が知りたいという方は、こちらの教材もオススメします。
元世界チャンピオンの國分利人が監修した空手の上達方法です。
気になる方は、購入してみてもいいかと思います。
尚、上級者以上の練習方法についてもこれから解説していきます。
しかし、黒帯以上になると自分にあった練習方法や空手の考え方を身につける事が必要だと思います。
→空手で黒帯を取ったら練習内容は自分で考えなさい。自分の練習方法の探し方とコツ
→強くなりたければ力を抜け!黒帯の空手の有段者が練習の時に考えていることとは?
これからも一緒に空手を練習しましょう!